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※既にGWですが、年度末・年度始め頃の話です
※キャラクター(特に仲尾)が、おっぱいおっぱい連呼しています。
 苦手な方はご注意ください
※キャラクター紹介

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『相思』


「ヤバい、先生が足りない」
「……は?」

 ただいま幼なじみ三人で飲み会中。
俺、三原高志が娘のように可愛がっている香月涼多が、俺にとって非常にとんでもないことを言いだした。

「あぁ、年度末だしな」

 その涼多に対し何事もなかったかのように返しているのは、今しがたトイレから戻ってきたもう一人の幼なじみ、仲尾翔也。

「そうなんだよ。学年末考査、入試、卒業式に修了式。それが終わったら、今度は入学式と始業式。もう全然、先生と会えてないし声も聞けてない」

 先ほどから涼多の言っている「先生」とは、涼多の恋人であり高校時代の担任であった、岸原孝弘のことだ。
涼多の目元が潤んでいるのは酒のせいだけではなさそうで、脳裏に浮かべた岸原を殴ることにする。
可愛い娘を泣かされて、黙っている父親なんかいないよな。いるわけがない。

「メールくらいはって思うんだけど、先生って元からメールするタイプじゃないから、忙しいと余計に連絡減るんだよな。すっげぇ寂しい」

 飲み過ぎだと告げ涼多の手からグラスを取り上げると、拗ねてテーブルに突っ伏してしまった。

「仕事って分かってんだよ。 分かってんだけどさぁー……。あんま何も無いと、やっぱ女の子が良いんじゃね?とかふと思えてくるわけー。
 職場に若くて可愛い女の子、いっぱい居るから余計に。女の子が相手なら、柔らかいおっぱい揉み放題だしさー」

 さすがに生徒に手を出さないだろうとは思ったものの、涼多からの熱烈なアタックの結果とはいえ、
岸原が俺達の担任だったとき――高校一年生の頃だ――からの付き合いだったことを思い出し、性別については今更だろう、としか言えなかった。

「確かに、揉むなら男より、女の子のおっぱいが良いだろうな」
「翔也……ややこしくなるから、やめろ」
「おっぱいはさ、大きけりゃ良いってもんじゃねーじゃん? 形だろ、形!! ブラ外しても型崩れが少ない美乳、サイコー。
 あと、個人的には人工巨乳より天然貧乳だな。偽乳とか萎える。いや、一度は愛でさせてもらうけど、二度目は無いな。
 でもなー、手に余る天然巨乳も捨て難いよな。いや、でもやっぱ掌で包み込めるサイズも魅力的だしな……」

 酒にあまり強くない翔也が、面倒な入り方をしてきた。
悲しげな表情になった涼多をよそに、女性の胸について語りだす始末。個室とはいえ……自重しろ、酔っぱらいめ。
というか、一度は愛でさせてもらうけど二度目は無い、なんて贅沢なこと言ってんじゃねぇ。

「先生カッコイイし、大人だし、相変わらず生徒にも慕われてるみたいだし、俺なんか居なくても平気だろ。
 きっとさー、すぐに次の相手が見つかるんだ。すっげぇ可愛くて揉み甲斐のあるおっぱい持ってる女の子。いや、先生と並んでても見劣りしない、大人の女性か」

 未だ続く翔也のおっぱい論のさなか、涼多が滅多に見せない弱音を吐露する。

「俺の隣はお前だけだって、三年も前から決まってんだけど。あと、俺は胸に重点を置いて交際したことはない」

 一瞬体を起こしたものの、またすぐにテーブルと仲良くし始めた涼多の頭を撫でようとしたとき、岸原が現れた。
すぐに俺を睨んできたがこちらも負けじと睨み返し、涼多の頭を一撫でする。
ただでさえ鋭い目つきが更に鋭くなったが、誰のせいで涼多がこんなことになってんのか思い知れ。

「センセー、タイミング悪すぎ。 ていうか遅いー」
「すまない、道が混んでた。ほら香月、帰るぞ」

 おっぱい論を中断された翔也が非難めいた口調で岸原を迎え入れ、岸原はそれに応えながら涼多に手を差し出す。
涼多はというと、気まずいのか岸原の手を取りかねている。

「涼多」

 本当は手を取りたいくせに取れないでいる涼多を可愛いくてたまらないといった様子で、岸原が再度声をかける。
それも、おそらく本来は二人の時にしか出さないだろう声色で。

「先生、ごめんなさい」
「何がだ?」

 それでもまだ、岸原の手を取れないでいる涼多の頭を優しい手つきで撫でる岸原。
先ほど俺が撫でていたところを何度も繰り返し撫でているあたり、涼多の心配は杞憂に終わりそうだ。

「仕事だって分かってるのに、あんな……」
「まったくだ。今日はお前バイト休みだって言ってたし、俺も早く終われたしで連絡入れたのに全然連絡つかねぇし。
 仕方ないからお前の家に行ったら居ないしな。しばらく居たけど帰ってくるどころか仲尾から『センセー涼多が』なんて訳分かんねぇメールくるし?」
「あ……電源切って鞄に入れてました……ごめんなさい」

 翔也がしたり顔で二人を交互に見ながら、焼酎グラスを呷る。

「お前さ。会いたいと思ってるのが自分だけだと思うなよ」
「え……?」
「春休みが始まれば余裕が出来るから、もう少しだけ我慢な?」

 涼多の頭を撫でながら話を続ける岸原と、それを嬉しそうに眼を細めながら聞く涼多。
その様子が、せめて親兄弟のように見えれば良かったけれど、どう見ても恋人同士のそれで、なんだかむず痒くなってしまう。

「そろそろ帰るぞ」
「はいっ」

 岸原が涼多の頭を撫でていた手を一旦止め、一瞬の間の後にもう一撫でして涼多へ差し出す。
それを、今度は心底幸せそうな顔で取る涼多。そしてどちらからともなく絡められる指。
その一連の動きがとても自然で、普段の二人の様子が垣間見え、無性に腹が立つ。
見せつけてんじゃねぇよ、リア充め。再度、脳裏に岸原を浮かべ先ほどより強めに殴る。

「高志、翔也、ありがとう」

 幸せそうな顔のままこちらに言葉を掛ける涼多に、思わず笑みがこぼれる。

「さて、飲みなおすか」
「そうだな」

 次は四人で飲むというあまり嬉しくない約束を交わし、仲睦まじく店を後にする二人を見送り、翔也と互いのグラスにビールを注ぎあい乾杯しなおす。

「ところで、高志はどんなおっぱいが好みなわけ?」
「……年齢のわりにはちょい垂れてるな、くらいの方が興奮する」
「お前……結構マニアックだな」
「綺麗な体が見たいならグラビアとかAVがあるじゃねぇか。ちょっとだらしないくらいがリアルで良くね?」



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